「初めてのPHP5」BOOK REVIEW
書評者:土橋 直 様

本書の内容は説明、例題、説明、例題。章の後ろに演習題という構成になっている。学校の数学の教科書みたいな作り、まさにテキストを意識して書かれたのだろう。

幅広い内容を含み、基礎的な部分から配列操作、xmlのパースまでチャプターが設定されているので、プ ログラミングをかじったばかりの人も、この本でPHPを学びながらプログラミングの基礎を確認していくことが出来る。とはいうものの一部解説が長すぎるような気がする。

さらに問題点がある。初めてのというからには、全体の実例が挙げられていることが望ましい。つまり 、PHPインタープリターがインストールされたサーバー上でPHPスクリプトがどこに保存され、ク ライアントからの要求がどのようにPHPインタープリターに伝えられ、PHPファイルがどのように 振る舞い、結果としてどのような機能を実装するのか。この過程が簡単なイラストでさらっと説明されているだけなので、わかりにくい。例えばスポーツで棒高跳びを教えるとき、足の角度はこうで、助走 はこうで、ポールの持ち方はこうでと、部分部分の説明ばかりをしているようなものである。普通は模範試技を見せて全体の動きを細かく頭に入れ手から、細部の説明に移る。この点が考慮されていないよ うに見える。

本書を有効活用するには、まず自宅のもしくは、自分のコンピュータにPHPインタープリターをインストールして、コーディング即ためしに実行するという環境が必要だろう。次により具体的な「PHPと××によるウェブシステムの作り方」のような本も入手し、本書と両方見ながら、怒涛のように練習問題 のコードを実際に使ってみる。個々の設題の説明は要領よくわかりやすいし、ボリュームもあるので、 このポイントを押さえて利用すれば習得効果をあげらると思う。


書評者:小松 誠 様

書評:『初めてのPHP5』

「ついに出た」という感じである。世の中多くのPHP本が出回るようになったが、初心者が基礎から学べるカリキュラムを意識した構成のものは少なかった。その中で本書は、350ページ足らずという限られた紙面でPHP言語の文法、言語規約から、Webフォームの作成、データベースの取り扱い、日本語処理、正規表現までをも網羅して、PHPでWebシステムを構築するための基本的な技法や知識を「容易に」習得できるようになっている。 また、単なるリファレンスのみにとどまらず、豊富な例題やプログラム例を掲出することによって、読者の理解を助ける工夫がなされている点も特徴と言えよう。

もしこれから何らかの教育機関において、カリキュラムの一環としてPHP5を取り上げる機会があるならば、本書は優れたテキストとして受け入れられるだろう。 一方で開発現場においても、本書は初級者にとっての良き指南を与えてくれるに違いない。それは例えばファイル操作の手ほどきやデバッグ作業の実際を事例を交えながら解説している点などが挙げられる。

ところでいささか残念ながら、本書はPHPの解説書であって、PostgreSQLの解説書ではない。そればかりか、原著においてはPHPとPostgreSQLの連携については全くといって良いほど記述されていなかった。データベースの取り扱いに関しても、具体的事例としては、MySQLが取り上げられている。これは欧米において広くMySQLが利用されていることによると思われるが、日本PostgreSQLユーザ会の一員としては、大変残念な気持ちである。 この点について、邦訳をご担当された桑村氏は、訳注においてPostgreSQLについて言及するという技で、ささやかな配慮をして下さっている点が実にありがたかった。さらに、多くの日本の読者が気にかけるであろうPHPでの日本語処理についても、丸々1章分を補遺する形で解説されている。

また、日本語版においては、リリース間近となったPHP5.1において実装されているPDO(PHP Data Object)についても付録の中で解説されている。多くのPHPユーザは今やスタンダードと言えるPEARライブラリを用いていることと思われるが、実行効率や移植性の点で、筆者はぜひPDOの導入をおすすめしたいと考えている。

このように、本書はPHP5を主題として、PHPにおける総合的な開発知識について、基礎から網羅的に学べる良書となっている。 ぜひ机上の一冊、書棚の一冊としてお加え頂きたい。



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