実践 PostgreSQL」BOOK REVIEW
書評者:石王丸 直大 様

オライリー社の技術書というと、ビギナーにとって、非常に敷居が高いという 印象があるが、本書を読んでまず感じたところは、ユーザがPostgreSQLを 1から学習する際に踏む手順に沿って書かれているという点である。

おそらく本書を読み進むことで、ユーザは単なる断片的な知識や、憶測による 誤解に終わらず、PostgreSQLをバランスよく理解できるであろう。

そのような目的以外にも、非常に便利になったPgAccessや、 今までなかなかわかりやすい情報得がたかったた関数やトリガ、PL/PgSQL、 JDBCの問題点にまで言及する等、パワーユーザを目指す学習者にとっても、 非常にありがたい内容となっており、対象とする読者レベルは非常に幅広い。

監訳者である石井氏の注釈も、単に最新版であるバージョン7.2への フォローにとどまらず、本書自身への指摘等、非常に実践的でわかりやすい。

このように本書は非常に満足な一冊であると感じているが、あえて残念な点を 挙げるとすれば、PostgreSQLの設定ファイルやチューニング方法について、 またその効果や意味についての解説がもう少し欲しかった。

また、わたくしがJDBCを利用したWebアプリケーションの開発に 携わった際、9ヶ月の開発期間に、テストサーバのPostgreSQLを 2度も復旧不能に追い込んだ苦い経験がある。

データベースというと、その処理能力と同時に、いかに安全に運用できるか、 という点が非常に重要視される。

例えオープンソースと言えども安全でなければ、その恩恵にあずかることは できない。

本書の目的とするところとは、少しはずれた内容となるのかもしれないが、 PostgreSQLの歴史と共に、使用方法について書かれた書籍は数多く 見かけるようになったものの、安全に運用するためのノウハウについて 書かれたものは、あまり多く存在していないように感じる。

そういった、運用のための「実践」的なノウハウが広く普及すれば、 ユーザがPostgreSQLを利用した開発を経験していくチャンスが 一層増えるのではないだろうか。

逆に、PostgreSQL自体の発展にも、大きく貢献できるに違いない。

最後に、著者であるJohn Worsley、Joshua Drake両氏、 また本書の監訳者であり、常日頃日本のPostgreSQL普及に尽力されている 石井 達夫氏、非常に読みやすい翻訳をつけてくださった木下 哲也氏、 わたくしを本書の書評者に選んでいただいた日本PostgreSQLユーザ会、 この書評を最後まで読んでいただいた全ての皆様に感謝いたします。




書評者:塩田 剛志 様

本書は、全体は以下のような5部構成になっており入門書的な面 とリファレンスマニュアル的な面を持ち初級者から上級者まで楽 しめる内容の1冊だと思う。

第1部
PostgreSQLの概要およびインストール方法
実践PostgreSQLというタイトルの通り実際に本書の内容にしたがっ てRedhat Linuxにインストール作業を行ってみたが特に問題なく スムーズに作業をすすめることが出来た。
ただし、PostgreSQLのビルド時にJDBCドライバを一緒に生成させ ようとする場合、事前にJDKやAntをインストールしておく必要が あると書いてあるが、それらのインストール方法や設定について 記述が無いのは少々残念である。しかし、脚注にJDK1.4は使用不 可でJDK1.3が必要と書いてあり、嵌りそうなポイントはしっかり 押さえてあるので脚注も見逃さないようにしたい。

第2部
PostgreSQLの利用方法
SQLチュートリアルになっていて、実際のSQL文と実行結果が記載 されており、初心者にもわかりやすいのではないかと感じた。 この章を読む前には付録のCDROMのSQLスクリプトを実行してあら かじめテーブルとデータを作成して、実際にコマンドを入力しな がらページを読み進めていくと理解しやすいと思う。
また、psql、pgAccessなどのクライアントツールの使用方法の解 説もある。

第3部
PostgreSQLの管理
データベースの管理方法について、データのバックアップ復元に 始まり、ユーザ、グループ管理、権限の設定などの方法について 解りやすく書いてある。

第4部
PostgreSQLプログラミング
PL/pgSQLとJDBCと代表的な2つのケースについて記述されている。 それほどページ数は多くないので必要最小限ではあるがポイント を押さえてあり、サンプルプログラムもシンプルで解りやすい。

第5部
コマンドリファレンス
WEBで参照できるものとほぼ同じものであるが、やはり紙の媒体 であると便利である。

まとめ
以上のように盛り沢山の内容で、これ1冊あれば一通りのこと が理解出来るようになれる。
少々難点を言うと持ち歩いて電車で読むにはちょっと重いかな。




書評者:長柄 正二 様

このたびはオライリー様の新刊書籍,「実践PostgreSQL」の書評者に参加させていただきありがとうございました。 書評等を書くのは初めてですので、お恥ずかしいのですが宜しくお願い致します。

本書は、”実践Postgresql”というネーミングにも関わらず、初心者の方にも解りやすく学習とマニュアルという観点から見てもすばらしい書籍であり、 自分の様に、知識はこれからだけど、興味は深々という方にはうってつけの一冊だと思います。 自分はLinux、DB共に”ド”がつく素人ですが、本書の力を借りながら、どこまでスキルアップが出来るのか、を前提にLinux、postgresqlを相手に十分に 学習(格闘)出来た事を、ここでお礼申し上げます。

対象読者は?
本書の冒頭には、Linux、Unixシステムに精通している方が対象と書かれていますが、書籍店にありがちな、”これなら出来るXXX”等の書籍では不満足で、 もう少し詳しい情報が欲しく、毎度web情報をを探し廻っている技術者(自分が思い浮かぶ)の方など知識向上を目指している方も十分理解できると思います。 又、この業界にありがちな、3及び4文字略語等、聞きなれているけれどホントの意味は良く判らない!(又も、自分が思い浮かぶ)という方も再度知識の向上に 継るのではと思います。

まずはインストール!
ソースパッケージの解凍からのコンパイル等今まで、rpmファイルばかり使用していたので最初は不安でしたが、実に判りやすく、 思っていたよりスムーズに作業は進みました。 私のような初心者でもつまずかず進めましたので、これから”Postgresqlのインストールをしたい!”という方にお薦めできると思います。 *1:致し方ないとは思いますが、コマンドを実行する際のディレクトリの移動等もう少し詳細を記述して頂ければと思いますが・・・・。 *2:書籍名の”実践Postgresql”というネーミングに敷居が高そうなイメージをを持っていたので少し安心しました。

postgresqlをどう使う?
どのようなシステム、どのようなプログラムにも、共通して考えられる事だとは思われますが、 SQLをどのように活用するか(モチベーション?、必要性に迫られる?)、が一番大切だと思います。本書に記述されている、リファレンスの豊富さ、又一番大切な見易さを 考えても、postgresqlを使用したDBシステムを構築するにはバイブル的な一冊になるでしょう。 *3:サンプルロジックは豊富です。

最後に
何度も書きましたが、”ド”がつく素人なので、この書籍の長所、短所に対し詳しく感想は述べられませんでしたが、著者、監訳に携わった方に感謝すると共に、 今後も十分活用させていただきたいと思います。




書評者:穗鷹 良介 様

Practical PostgreSQL

【まず結論】
本書は以下のいずれかの条件を満たす技術者にとっては一押しの参考書である.

1) 実質無料のソフトウェアだけを用いてデータベースを用いる業務システムを開発したい.必要な問題点の解決は原則として自分が行う覚悟がある.
2) データベースを用いる業務システムの仕様をあいまいなく定め,自由競争市場から最適なインプリメンテーションを募りたい.
3) 上記の開発についてのコンサルティング業務に精通したい.

【本書に対する感想】

1) 「はじめに」で著者は「本書はLinuxやUnixベースのシステムに精通している読者を対象としているがデータベースの専門家である必要はありません」と述べているが,Linux歴2年程度の書評者にとってはこれはかなり大変な条件であった.書評に約一ヶ月の時間を頂いたのだが,正直言ってLinuxとPostgreSQLの準備と理解に要した時間は前者の方が多かった.それでも本書の全領域を満足できる程度には「実践」できなかった.
2) それでも道筋を手抜きをせずにフォローし,1ステップずつ確認をしながら読み進むことができた.要は読者の能力,反応の早さ等に応じて遅速はあるが,書かれている事を正確に再現できるということが分った.かつて評者は多くの教科書の中でいくら悩んでもどうしても解決できない問題に出くわして途中で投げ出したことが数限りないほどあったが,この本はその点,実に良く書かれている.著者は手抜きをしなかったのだ.これは信用して頂いて良い.
3) 要所要所で述べられている監訳者の注はこれもまた大変親切である.

【本書を更によく理解するための秘訣】

1) 最近のインターネットには技術的な悩みについてすでに多くの技術者が同種の疑問を呈し,それに対して解決策が得られるケースが大半である.分らなくなったら,キーワードと思われることをそのままGoogleで検索することを強く薦める.キーワードとしてはコンピュータから出されたエラーメッセージなどは非常に的確にヒットする.
2) 解決策は広い範囲から探した方が良いに決まっているから,Googleで「ウェブ全体から検索」にチェックをして検索をしよう.
3) それにも拘わらず適切な他のPostgreSQLの参考書は備えておいた方が良い.石井達夫氏のシーラカンス本は大変役に立った.

【本書の性格】

1) OSから始まって,インターネット,データベースをすべて自分で構築していくときに必要とされる技術の解説
2) データベースを用いた業務システムの構築の方法(論)ではない.ごまかしなしにもっと硬い内容を扱っている.論証も反論もできない訳のわからないIT技術とは一線を画する.
3) 「実践」という形容詞は本書に良く似合う.実際に動くし,また,実際に動かしてみる努力をしないと良く分らない対象を扱っている.

【その他】

1) 忠実に一歩一歩本書をフォローしていくと「ははーん,オープンソフトウェアを使いこなすということはこういうことなのか」ということが分ると同時に実践する自信が出てくる(ただし,時間は随分掛かりますけれど).
2) データベースの自力開発,外部委託にどれだけの対価が必要であるかと言うことがかなり良く説明できるようになるであろう.
3) 翻訳の出来栄え
まずい訳と思われるところを一箇所見つけた.ミスプリントも皆無ではない.これは読者からの意見をウェブに載せるなどしてより完全を期すべきであろう.初心者にとってはちょっとしたミスプリントも理解の妨げになることがあろうから.機会があれば評者も投稿しようと思う.しかし,全体的には大きな問題ではなく,良い出来栄えである.

【出版社,価格など】

1) 出版社:株式会社オライリー・ジャパン
書名:実践 PostgreSQL
John Worsley、Joshua Drake 著
石井 達夫 監訳
木下 哲也 訳
2002年10月発行
612ページ
CD-ROM 付録
本体価格4,800円
ISBN4-87311-102-1
原書:Practical PostgreSQL

2) ナント英文の原著が http://www.commandprompt.com/ppbook/book1.htm にある.




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