新 The UNIX Super Text [上]新 The UNIX Super Text [下]」BOOK REVIEW
書評者:案浦 浩二 様

 10年ぶりの改訂となる。上下巻合わせると2000ページになる程の分厚い書籍だ。だが、読みやすいのでページ数が嘘のようだ。驚きながら内容を見ると実に丁寧に書かれている。コンピュータの歴史やキーボードの話から始まっているのである。コンピュータ用語は英語表記がカタカナ表記の下に小さく表示されている。もともと学習用として考えられているのだが、これ2册で他の本は不要なほどだ。手元にPCがあればUNIXをインストールして、この本を教科書にして勉強すると良い。たぶん、1ヶ月もあれば十分終わりUNIX通になっているに違いない。UNIXをばりばり使っている人であっても、一度コマンド系を復習するのには最適な書籍だ。最近はGUIばかりで、トラブル時しかコマンドのお世話にならなかったりするので使わないと忘れてしまうのだ。
 全部で92章もあるが「第2部とにかくつかいましょう」では、ログイン、ファイル、プロセス、csh、それにトラブル発生時の記述があり、すぐにUNIXは使えるようになる。「第5部ちょっと賢い使いかた」では、たぶん一般ではなかなか深くは知らない「正規表現」「木構造とグラフ構造」「フィルタ」の丁寧な解説がある。これはありがたい。昔、MINIXで頑張っていた頃を思い出した。Macに関しては「第90章UNIXとMacintosh」で少し取り上げられてはいるが、次回の改訂(いつのことか)ではUNIXとしてのMac OS Xをもっと取り上げていただきたいと思った。コンピュータ言語に関しては、当然Javaがあるが、LispやPascalなどもある。これさえマスターすればバランスのとれたUNIXユーザの仲間入りだ。最近仕事で遠隔地にあるLinuxの設定をsshを使って行ったが、GUIが使えないのは、こんな に辛い事かと身につまされた。そんな時でもこの本はリファレンスとして役立った。ホントに久々の良書だと思う。唯一の欠点は大きさと重さで、通勤中に読むには、ちと大変だ。


書評者:下川 忠弘 様

 本書は、UNIX及びUNIX系と呼ばれる全てのOSに共通して使用できる、これでもかというくらいのボリュームを備えた書籍であり、学生から実務者まで幅広い層を満足させるだけのものであると感じました。その特徴は概ね以下の通りであると思います。

1、類書に例を見ないボリューム
 ページ数がとても多く(上下巻で1900ページ)、類書では到底まねが出来ないであろうボリュームでした。そのボリュームがゆえに、UNIXのオペレーション並びにプログラミングを行う際のベースになる項目については全て網羅してあり、この書籍を全てマスターすれば、少なくともUNIXのオペレーションに関しては何ら問題なく行うことが出来る程度の実力が身につくのではないかと思われます。また、プログラミングに関しても、そのためのオペレーションは問題がなく出来るようになっているかと思われます。したがって、UNIXを初めて触る読者(パソコン等のコンピュータを初めて触る読者でもOK!)ははじめから順に読み進めていくことをお勧めします。

2、項目の多さと偏りのない分量
 本書は非常にボリュームがあるため、UNIXについて、これだけ知っていれば日常使用するには困らない程度の記載がされていますが、それ以上に、全ての項目について、内容に偏りがない記載となっていると思います。類書では著者の得意分野については詳細に記載されているが、それ以外のところはさらっと流す程度の記載がされているものが多いと感じていましたが、本書はどのページを読んでも、その内容の濃淡を感じることなく、非常に興味深く読み進めることができました。したがって、UNIXオペレーションのリファレンスマニュアルとしての機能も十分に果たすことが出来るのではないかと感じております。

 さらには、その項目も分け方もあまり細かすぎず、しかし大雑把過ぎずというところで分かれていると感じました。目次の記載も非常に分かりやすく、知りたい情報にたどり着くまでの時間が短くすむという点でも、本書は一通り読み終えた後、あるいはUNIXを日常的に使用しているエンジニアの手元においておくべき、リファレンスマニュアルになりえる書籍だと感じました。

3、索引用語への英単語表記
 この書籍はおそらくは大学等での教科書として扱われているのではないかと推測できることとして、索引に掲載される用語全てに英単語が付記されていることです。類書では索引のページに英単語が付記してあるのを時折見かけますが、この書籍には本文中の該当の語彙の上に併記してあり、それもその単語が出てくる毎に併記してあります。UNIXを初めて触る読者ははじめから順に読み進めていくことをお勧めします、と先に書きましたが、これらの英単語も気にしながら読み進めていくと、英文のドキュメントを読む際に、専門用語に関してはストレスなく読み進めていくことが出来るのではないでしょうか。また、大学等の講義で使用できるという点でも非常に配慮がなされているのではないかと感じました。

 書評を担当した私はLinuxでWebサーバを運用管理する立場にあるのですが、UNIXについてはそれなりに触ることが出来るかな?といった程度で、きちんと勉強したことがありませんでした。一度系統的に学ぶ機会を設けたいと考えていたところ、今回の書評の募集がありました。一通り読ませていただきましたが、もちろん全て理解できたわけではありませんが、UNIXを操作する、あるいは運用管理するためにはどのような項目を理解しておく必要があるのかという、学習のためのマイルストーンを提供してくれた書籍だと思います。
 最後に、このようなすばらしい書籍をご提供いただきました技術評論社の方、また書評の機会を与えていただきましたPostgresユーザ会スタッフの方に対して大変感謝しております。ありがとうございました。
 



書評者:岩本 浩司 様

 UNIXの解説書には、翻訳版が多く存在していますが、「新 The UNIX Super Text [上]・[下]」(以下:改訂増補版)の初版である「The UNIX Super Text [上]・[下]」(以下:初版)は、国産のUNIX標準教科書として多くの人々に利用されています。そういう私もその中の一人でした。

1.初版との出会い
 以前勤務していた会社で導入したファイルサーバがSolaris上で稼動していたため、システム管理上必要な勉強をするために知人から「UNIXオペレーション、開発について全般的に書かれている良い書籍」と紹介され購入した書籍が初版でした。

2.10年現役
 現在勤務している会社では、どちらかというとクライアント側の管理が中心でUNIXのコマンドを使用することはあまり多くなかったこともありしばらく勉強していませんでした。ところが、永年使用してきたシステム(OpenVMS・True64UNIX)をSolaris8上のシステムに入れ替えることになり、その管理を担当することになったためUNIXに関するレベルアップが必要になり、急遽参考書を探していたところ初版を書店で見つけた時は感動してしまいました。なぜなら、Windows及びMac系の参考書で10年現役の書籍はほとんど存在していないからです。
 しかし、初版はコマンド関係では十分活用できますが周辺環境の変化には対応できていないようなので、購入を躊躇してました。

3.改定増補版出版
 近所の書店で、改訂増補版が出版された事を知り即座に会社用として購入してしまいました。購入後、今回の書評者募集のメールが届き、気づいたら申し込みのメールを送信していました。

4.改定増補版の構成(追加)
 11部構成(第1部:コンピュータを使う前に、第2部:とにかく使いましょう、第3部:初心者としての一般教養、第4部:インターネットワーキング、第5部:ちょっと賢い使いかた、第6部:ユーザとしての一般教養、第7部:文書処理、第8章:プログラミング、第9部:プログラマとしての一般教養、第10部:システム管理、第11部:その他の知識)で初版とほぼ同様ですが、改訂増補版では、インターネット、プレゼン及びプログラミング関係が中心で、21章追加(71章→92章)されています。頁数としては上下巻合わせて1,936頁で初版より526頁増えています。
 具体的には、インターネット関係では「インターネット 」、「電子メール」、「ftpとtelnet」、「World Wide Web 」、「安全な通信 」等が、プログラミング関係では「画像処理 」「プレゼンテーション」等が、プログラミング関係では「Perl入門」、「圧縮とアーカイブ」、「いろいろなシェル」、「Tcl/Tkの使い方 」、「JAVAの使い方」等の章が追加されています。
 余談ですが価格(本体)は、上下巻合わせて7,160円で初版より267円高くなっていますが、ページ単価はかなり下がっています。

5.評価
 初版も良い書籍でしたが、改定増補版でさらに内容が充実して良い書籍になっていました。PC-UNIXの普及で多くのUNIXが存在していますが、UNIXの種類に依存しないような記載がしてあり、特定にUNIXに関する説明はその旨の記載がしてあるので、初心者の入門時にも、初級管理者の学習にもお勧めの一冊です。特に、充実したコラム(本文の所々に用語などを解りやすく解説)は大変役立ちます。

6.難点
 良い点である充実したコラムが検索し辛い。検索に工夫があればさらに使いやすかったと思います。内容が充実して頁数が多いのでしかたがないのですが、上巻だけでも最近のノートPCより重いので携帯性には難があります。そこで2分冊ではなく3分冊か4分冊で発行したほうが利用しやすかったと思います。

7.要望
 本書の特徴である、充実したコラムをハンディタイプの書籍として出版していただけると、UNIXを勉強するのに場所を選ばなくても良くなる(通勤・通学途中の電車等)のではと思います。




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